

健康危機が発生した場合には,どこで何が起きているかを的確に把握し,効率的な対応方法を検討することが重要である.ところが,このような場所に関する情報は,これまであまり有効には利用されてこなかった.その原因としては,場所情報自体のIT化の遅れがあげられる.場所情報を扱うシステムとしては,地理情報システム(Geographic Information Systems, GIS)と総称されるアプリケーションがあるが,一般に高度な数理的解析を行うために用いられるものであり,操作にあたっては専門的な知識や技能が必要とされることから,誰でもが扱えるようなシステムにはなっていない.また,場所情報の表現には多くのバリエーションがあり,GISで利用できるフォーマットに加工するためにも経験や知識を要するため,健康危機発生などの緊急時に必要な場所情報がGISに容易に利用できるような書式で届けられることを期待することはできない.場所情報は多くの場合,人間が分かるアナログ形式で,つまり住所や地名や経路記述などの自然言語で記録されている.そのため,データ形式を変換したり,高度な操作技術が必要になるなどの理由で,これらの貴重な場所情報は有効に利用されずじまいになってしまうことがほとんどである.
この問題点を克服するために,従来のGISとは異なる新しい枠組みとして,人間中心情報デザインの観点から,空間ドキュメント管理システム(Spatial Document Management System, SDMS)を基本設計し,ソフトウェアツールとして実現した.そして,その有効性を実利用を通して検証してきた.SDMSは,一般ユーザがパソコン上で日常的に利用しているデジタルドキュメント(電子メール,テキスト,ウェブページ,ワード・ドキュメント,エクセル・ドキュメント,PDFドキュメントなど)をアプリケーションウィンドウにドラッグ&ドロップするだけで自動的に住所や地名を抽出し,経緯度を算出して,地図上で空間分布を提示できるソフトウェア環境を提供する.
東京大学 空間情報科学研究センター(CSIS)
健康危機情報プロジェクト(代表:浅見泰司)
Last updated on Jan. 16th, 2009
SDMS Proj. Team
http://sdms.csis.u-tokyo.ac.jp/